2024-25 SOMPO WEリーグにおいて、前半戦を7勝3分1敗の2位で終えたINAC神戸レオネッサ。顔ぶれが大幅に変わった中でも11試合すべてに先発出場し、チーム2位タイの3ゴールを挙げるなど、その高いスキルと豊富な運動量でチームを支えている成宮唯は前半戦をこう振り返る。
 
「苦しい試合が多かったですけど、選手が大幅に変わった中で勢いよく勝ち続けられ、前半戦を2位で終えたことはポジティブな要素なのかなと思います」。チームが躍進していくためにも必要な若手の成長については、「愛川陽菜 選手や桑原藍 選手もそうですが、どんどん一緒に試合経験を積んでくるにつれて、若い選手がどういうプレー、判断をするのかが分かってきたので、やりやすくなってきました。若い選手がやりやすくなることによってチームがすごく良くなってきているという手応えは感じています」。その一方で、懸念点もあるという。「対戦するにつれてロングボールの多さや、カルロタ スアレス 選手をめがけてクロスを上げることも対戦相手にバレているので、自分は何かを変えていかないと勝てないと思っています」
 
そう話したように、どのチームも対戦相手のストロングやウィークポイントの分析が進み、より一戦一戦の難しさが増してくる後半戦。昨シーズンは無敗、首位で折り返したものの、後半戦で失速。結果、2位に終わった。その経験を踏まえ、「試合を落とさずに拾い、上位に食いついて上位相手にしっかりと勝てれば、タイトルは見えてくると思います。そのためには、勝負強さが必要」と話す。
 
残り11試合を戦い抜き栄冠を手にするためにも変化と勝負強さが求められる中、後半戦再開1カ月前の2月1日に右サイドで不動のレギュラーだった守屋都弥がアメリカのエンジェル・シティFCに完全移籍。否応なしにI神戸は変化を余儀なくされることになった。だが、「正直、守屋都弥 選手が抜けたことは痛いかもしれないですけど、いい意味でそういうふうに思っている選手はあまりいないというか。水野蕗奈 選手だったり、絶対に代わりはいるので心配はしていません。それに足元ができる選手が入ることによって、裏ではなく、下でつなぎながら――など新しくできることも増えるので、いろんなオプションができていいのかなと思います」と前向きだ。
 
また、変わるといえば、成宮のプレースタイルにも変化がありそうだ。「私はどちらかというとパサーなので味方を生かすポジション、プレースタイルなのですが、個人の才能を出して自分でボールを運ぶ、打開することがもっと必要だと監督からずっと言われていて。怖さを出すためにも個で打開できるよう取り組んでいるので、後半戦はそこを見てほしいです。おそらく前でプレーすることが多くなり、自分で打開して勝負を決められるようなプレーを後半戦は心がけていきたいと思います。後半は5ゴール、5アシストくらいはしたいですね」と力強い言葉を残してくれた。
 
その後半戦の始まり、2024-25 SOMPO WEリーグ再開初戦でI神戸はちふれASエルフェン埼玉(以下、EL埼玉)を迎え撃つ。今シーズン、EL埼玉とはリーグ戦に加え、WEリーグ クラシエカップで2回、成宮の決勝ゴールで勝利した皇后杯 JFA 第46回全日本女子サッカー選手権大会と計4回激突。「もともと戦いづらい相手」と今回で5回目の対戦となるだけに難しさは増すが、「先制点がすごく大事になってくると思うので、最初から飛ばしていきたいと思います。絶対に再開初戦は勝たないと勢いがつかないので、勝ち続ける勝ちグセをつけるためにもここでしっかりEL埼玉を叩いて、上位に離されないように戦っていきたいと思います」
 
まずは再開初戦の勝利へ、闘志を胸に背番号10がピッチで躍動する。
 
【スポーツライター・金子裕希】