｢試合に出たくても出られない選手もいますし、ケガでリハビリを頑張っている選手もいるので、そういう人たちの思いやINAC神戸のエンブレムを背負ってピッチに立つからには結果で示し続けないといけないと思っています。プロとしてもそうですし、INAC神戸の代表という自覚を持ってプレーしたいと思います」。そう話してくれたのは、WEリーガー2年目を迎えた太田美月だ。

今年2月のチーム加入後、高卒ルーキーながら2024-25 SOMPO WEリーグの後半戦全11試合に先発出場し2得点をマーク。｢入ってすぐ優勝争いで負けられない試合が続いて、いっぱいいっぱいでした｣と重圧のかかる状況下でもその能力を発揮した。だが、｢最後のノジマステラ(神奈川相模原)との試合が終わって(得失点差で)優勝できなくて先輩らが涙している姿などを見て、自分は覚悟とか責任がまだ足りなかったと思ったんです」。
その気づきや、「昨シーズンは周りに助けられて一緒にプレーさせてもらっていたという感覚が強かった」という思いもあり、｢今年は自分がやるという自覚と覚悟を強く持って、飛躍できる１年にしたいです｣と“飛躍”を目標に掲げ新シーズンに臨んでいる。

宮本ともみ新監督が就任したことにより、レギュラー争いはゼロからのスタートになったが、太田はここまで4試合すべてに先発フル出場。｢昨シーズンの後半戦全試合に出られて一通り全チームと試合ができたという経験がすごく生きていると思いますし、少しの余裕にはつながっていると思います｣と持ち前の対人の強さを生かしたプレーなどを武器に、冷静で落ち着いた守備を見せている。
また、｢昨シーズンはカルロタ（スアレス）選手らがいましたが、今シーズンは自分が決めるという思いが強いです。本当にいいキッカーが揃っている分、セットプレーは武器にしていかないといけないと思っていて、得点が取れるセンターバックになることも目標としてあるので、これからもゴールは狙っていきたいです。昨シーズンは後半戦で2点だったんですけど、今シーズンは１年あるので5得点が目標｣と貪欲にゴールも狙う。

2025/26 SOMPO WEリーグ第2節･サンフレッチェ広島レジーナ戦でCKから今シーズン初ゴールを挙げていることもあり、セットプレーでは警戒されることが増えているが、当の本人は笑顔で｢相手のヘディングの強い選手がマークについてくれるとうれしいというか（笑）。そういうふうに警戒してくれている中で決めたいという気持ちがあります｣と頼もしい。

｢宮本監督のサッカーは一人ひとりがハードワークする、走るという部分がベースにあってこそ表現できると思います。まだまだ積み上げていかないといけない部分はたくさんあると思いますが、そういう細かい部分までこだわって実現できたら面白いサッカーになるだろうなっていうワクワク感はみんな持っていると思います｣と期待感を抱きながら新たなチームスタイルを積み上げていく中で迎える、セレッソ大阪ヤンマーレディース（以下、Ｃ大阪）との一戦。Ｃ大阪には約4年半ぶりに海外から古巣復帰したなでしこジャパンの宝田沙織や、U－19日本代表で一緒だった選手が在籍する。それだけに、｢宝田選手は世界でやってきた選手なのでチャレンジャーとして思い切って戦って、一対一のところでも負けないように頑張りたいです。

U-19で一緒だった新井選手、田子選手、名和選手のうち、新井選手と田子選手は前線の選手なのでマッチアップする可能性も高いですし、この3人とはプライベートで遊ぶくらい仲がいいからこそ負けたくないです。関西ダービーで負けられない試合なので結果でも内容でも圧倒的できるようにしたいですし、ホームでの得点がまだなので早くファン・サポーターの皆さんの前でゴールを決められるように頑張りたいです｣と気合は十分だ。

今後に向けても、｢まずは試合にしっかりと出続けてコンスタントに、タフに戦えるようにしたいです。得点、無失点というところで目に見える形でも結果を残していけるように、チームのために体を張って頑張りたいと思います」

プロ2年目で高まってきている自覚と覚悟を胸に、背番号24は今節も“結果”にこだわり、ピッチに立つ。

【スポーツライター・金子裕希】