才能あふれる選手が多く在籍するINAC神戸レオネッサ（以下、I神戸）で、輝きを放っている高卒ルーキーがいる。今年2月からチームの一員となった太田美月だ。彼女がサッカーを始めたのは小学1年生の時。「兄の友人や近所のお兄さんたちにサッカーをやっている人たちが多くて、そこに混ぜてもらって遊んでいたのが楽しくて幼稚園の頃からずっと親に『サッカーを習いたい』と言っていました。『小学生になったらね』と言われていたので、小学1年生からやっと習い始められました」
 
そんなサッカー大好き少女は、愛知県知多市の 旭フットボールクラブ、名古屋市のラブリッジ名古屋、「よりレベルの高い環境でチャレンジしたいという思いもあって」と大阪の大商学園高校を経て、WEリーガーに。「いくつか練習参加をさせてもらったのですが、将来、なでしこジャパンのメンバーになるとか世代別代表で活躍するという目標がある中で、一番それに近づける、成長できると思ったのがINAC神戸でした。練習のレベルも本当に高いですし、周りの選手たちもトップで活躍していて世界を知っている選手たちが多かったので、そういう日常のところからの学びが一番多いだろうなと思ったのが決め手です」とI神戸の一員になった。
 
加入当初は、「やっているサッカーも今までと違いますし、求められることも違ったので最初はうまくいかないことばかりでした。それでも、分からないことを聞いたら本当にすごく分かりやすく答えてくれる先輩たちばかりだったので、コミュニケーションを取りながら一つずつ覚えていくという感じでした」と苦労もあったようだが、「2月から練習に加わっていましたが、後半戦が始まると同時に試合に出るつもりで準備をしてきました。試合に出ることを想像して練習で取り組んでいたことがうまく出せたことに対して正直びっくりしていますが、そうなると信じて練習してきたことが良かったのかなと思います」
 
そう話したように、2024-25 SOMPO WEリーグの後半初戦となった第12節ちふれASエルフェン埼玉戦で先発デビューして以降、ここまで4試合すべてに先発フル出場。前節のAC長野パルセイロ・レディース戦ではWEリーグ初ゴールを含む2得点を挙げ、チームの勝利に貢献している。この活躍について本人は、｢まだ自分の情報がないというか、相手も自分のことを全く知らない状態だから通用している部分もあると思います。今はうまくいっていると思いますが、それよりも足りない部分に目を向けてやっていきたいと思います｣と、決しておごることなく、しっかりと自分自身を見つめている。
 
また、WEリーガーになったことで、「サッカーだけに向き合える時間が増えたので、プロとしての意識を高く持って日常生活でも常にサッカーのことを考えながらやっていきたいと思います」と意識もより向上。「これまでは自分の試合や対戦相手の分析で終わっていたのですが、サッカーの本質、質の高いサッカーから学ぶために、女子サッカーを含めて海外サッカーなど、いろいろな試合を見るようにしています」と、さらなる上達に向けて学んでいる。
 
そんな彼女の真価が試される一戦となるのが、チームとしても大一番となる今節の三菱重工浦和レッズレディース戦。「本当にタレント集団というか、テレビなどで見てきた選手たちがいるのでまだちょっと憧れの目線になってしまっているのですが、ピッチに立ったら戦わないといけないので、まずは目の前の相手に負けないことは意識したいですし、どれくらい自分がやれるのか楽しみにしています」
 
注目のプレーはというと、「ヘディングやフィードは自分の武器としてあるのでそこは注目してもらいたいですが、チームのみんなに助けてもらってできている部分が多いので、チームを見てもらえたらうれしいです」とのこと。
 
「最高の夢は、なでしこジャパンに入って、ワールドカップで活躍して優勝することです。そのためにも全部ステップアップしていかないといけないので、日々進化していけるように目の前の試合や練習に向き合っていきたいです」という背番号24が頼もしいチームメイトとともに強敵に挑む。
 
【スポーツライター・金子裕希】